日産自動車の経営陣は、カルロス・ゴーン前会長の不正疑惑に関する報告書の全文を取締役会にまだ提出しておらず、一部で不満の声が上がっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。取締役は9日午後に開催された取締役会で報告書の全文を受け取ると想定していたが、実際に渡されたのは意外にも5ページの要約のみだったという。報告書は昨年着手したゴーン被告の不正疑惑に関する調査結果で、170ページにわたる。なぜ全文を提出しないのかとの質問に対しては、社内で報告書への最終承認が下りたのが前日であり、コピーが間に合わなかったとの説明があった。この関係者らによると、11日時点でも報告書全文はまだ取締役の手に渡っていない。