日本では10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる。消費増税によって、ただでさえ消費が落ち込む上、原油価格上昇の影響による価格転嫁に踏み切れば、さらに消費マインドに冷や水を浴びせかねない。

 最悪のパターンは、原油価格上昇分を価格転嫁できずに原材料費の上昇分をもろにかぶり、製造業をはじめ多くの業界で業績を悪化させる企業が続出することだ。

 日本エネルギー経済研究所の分析によれば、原油価格が1バレル当たり15ドル上昇した場合、日本経済の成長率が0.2%押し下げられるという。

 さて、原油価格はどこまで上昇するのか。

 欧州の原油価格の指標である北海ブレントは9月16日に一時、1バレル当たり70ドルを超え、前日比で約16%上昇。湾岸戦争以来28年半ぶりの上昇率を記録した。

 同日に米国の価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は一時、1バレル当たり60ドルを超え、前日比15%上昇した。11年ぶりの上昇率だ。

 世界各国は、市場の安定化へ動きだしてはいる。サウジは在庫を取り崩して輸出に充てる方針であるとされ、米国も原油価格が高騰すれば戦略石油備蓄を取り崩すとしている。

 市場関係者の間で、原油価格がさらに上値を追っていくと予想する向きは17日時点では少ない。

 攻撃直後に記録した北海ブレントの70ドル台、WTIの60ドル台。それ自体は今年の5月前後の価格水準と同じだ。この価格レンジにとどまってくれれば、世界経済に大きな影響はないだろう。

 しかし、原油価格がさらに上昇していく可能性が消えたわけではない。

 サウジは早期に石油関連施設の生産能力が回復するとしているが、攻撃前の状態に戻るには数ヵ月かかるとの情報もあり、そうなれば在庫が底を突いて、生産が停止している日量570万バレルの減少分をサウジ以外の産油国で補わなければならない。

 中東産油国を中心とするOPEC(石油輸出国機構)加盟国の余剰生産能力は日量500万バレルとされ、「200万バレルがサウジ、160万バレルがイラン」(新村敏弘・マーケットリスクアドバイザリー代表)。サウジ、イラン両国を除いたOPEC加盟国の余剰生産能力は140万バレルしかないとみられる。