もしあなたが突然、社長に就任することになり、会社の経営を立て直さなければならなくなったとしたら、どうしますか? 『なるほど、そうか! 儲かる経営の方程式』(相馬裕晃著、ダイヤモンド社、8月22日発売)は、つぶれそうな会社をどうしたら立て直せるのかをテーマにしたストーリー仕立てのビジネス書です。主人公は、父親に代わって急きょ、経営トップに就くことになった27歳の新米社長・千葉早苗。本書のテーマは、MQ会計×TOC(制約理論)。MQ会計とは、科学的・戦略的・誰にでもわかる会計のしくみのこと。MQ会計をビジネスの現場で活用することにより、売上至上主義から脱して、付加価値重視の経営に舵を切ることができます。もう1つのTOCは、ベストセラー『ザ・ゴール』でおなじみの経営理論。経営にマイナスの影響をもたらす要因(ボトルネック)を集中的に改善することにより、企業の業績を劇的に改善させることができるというものです。本連載では、同書から抜粋して、MQ会計×TOCでいかに経営改善できるのかのポイントをお伝えしていきます。
キャッシュ・フロー計算書は、家計簿や小遣い帳と同じ
5月11日20時。
早苗は、東京駅近くの和食居酒屋「はなたれ小僧」にいた。三浦半島で水揚げされた鮮魚が食べられるとあって、連日賑わっている。
「まさに『勘定合って銭足らず』だな。利益があるのにお金がない」
「先輩、私は『決算書あって知識足らず』です。詳しく教えてもらえませんか!?」
早苗はビールジョッキを握ったまま川上に詰め寄った。
「分かった、分かった。キャッシュ・フロー計算書(C/F)って、実は家計簿や小遣い帳と同じなんだよ」
「家計簿!? そう言われると、そんなに難しい感じはしないですが」
川上は、早苗の手帳に会社の活動と3つの決算書の関係について図を描いて説明した。
「企業の活動は、『お金を集める』『投資する』『稼ぐ』というサイクルから成り立っているんだ」(下図表)。