残業残業を“苦”だと感じない人のなかには、病的なケースも… Photo:PIXTA

「働き方改革」が推し進められる時代に逆行するかのように、残業や休日出勤を重ね、病的なほど仕事に打ち込んでしまう人がいる。働くほどに元気になる人が陥っている病とは――。精神科医の渡辺登氏に聞いた。(フリーライター さとうあつこ)

徹夜自慢に残業自慢…
仕事をすればするほどハイになる人々

 わが社は歴史的に“社畜”が多く、飲み会の話題は徹夜自慢、残業自慢、休日出勤自慢のオンパレードです。果ては働きすぎによる病気自慢まで――。その一方でうつ休職者が絶えず、なぜかバツイチ率も高く…。中途入社した自分ですが、将来が不安なので早期の転職も検討しています。

「相変わらず忙しそうですね」と声をかけると、「いやあ、タスクが集中しちゃって」「昨日も徹夜でさ」などと、うれしげに語りだす人が周りにいないだろうか。見れば目は充血し、顔色もよくない。だが、常にヤル気満々で、体調を崩そうが親が倒れようが、這ってでも会社にやって来る。

「ワークライフバランスが叫ばれ、残業に対するネガティブなイメージが広がっている一方、仕事をすればするほどメンタル的に元気になる人々がいる。もちろん、仕事に打ち込むのは素晴らしいことですが、なかには“仕事依存症”を疑うべき病的なケースもあります」と指摘するのは、赤坂診療所所長で精神科医の渡辺登氏だ。