米エクソン・モービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は先月、石油・ガス気候変動イニシアチブで電気自動車(EV)をやり玉に挙げた。EVの電源が石炭火力発電で賄われるなら本末転倒ではないか、と皮肉ったのだ。EVの創生期だった2016年のドキュメンタリー映画「Who Killed The Electric Car(誰が電気自動車を殺したか)」は、石油メジャーの幹部を環境に優しい未来の敵として漫画チックに描いていた。実のところEVは今や、エクソンの主要商品を巡る将来の需要に大きな脅威となっている。ただし、ウッズ氏の批判にも一理ある。世界最大の石油輸入国である中国は、EVの世界的リーダーでもある。だが中国は依然として、電源の大半を石炭に依存している。石炭は最も汚染度が高い電力源だ。中国はバッテリー市場の覇権も狙っているが、その生産工程が大量のエネルギーを要することを踏まえれば、EVはとりわけ環境に優しいとは言えない。少なくとも中国ではそうだ。