中国当局はここ数カ月間、痛みを伴う米中貿易戦争、減速する経済、そして猛威を振るうアフリカ豚コレラに対応を余儀なくされてきた。こうした秩序と繁栄への脅威をさらに増大させるのが、高級スニーカーの売買バブルだ。「スニーカー取引は株とあまり変わらない」。こう話すのは上海のモバイル決済会社で働くワン・チチェンさん(32)だ。ワンさんは起床後すぐに、中国のスニーカー取引プラットフォーム「Nice」や「Poizon(毒)」で価格をチェックする。そしてメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」を通じ、700人余りの潜在顧客に売りたいと考えている商品の価格を調整する。「寄り付きと引けに注意する必要がある」中国のスニーカー熱はハイパードライブ(超光速)級に達している。米国のサブカルチャーや「エア・ジョーダン」初代モデルへのこだわりを吸収し、新たなレベルに高めた。投機家が取引プラットフォームに殺到し、デリバティブ(金融派生商品)さながらのリスク細分化が行われている。