習近平が唱える「国家統治論」は単なる独裁強化なのか
中国が進めるガバナンス整備の動きは、習体制による「独裁強化」なのだろうか Photo:Pool/gettyimages

 10月28日から31日まで開かれた中国共産党第19期中央委員会全体会議(以下、「第19期四中全会」と記述)では、習政権発足時からよく言われていた「国家ガバナンス体系・ガバナンス能力の現代化」がテーマだった。

 昨年あたりは、今後の経済運営の指針が議論されるかという見方があったが、昨年2月に開かれた第19期三中全会と同じく、政治問題について話し合われた。第19期三中全会では、党・国家機関の統合を進めて党の指導を強化することが目的とされたが、今回は中国の社会主義制度をさらに強化するための統治能力について議論された。

 昨年の全人代で、憲法にある国家主席の任期に関する規定を撤廃したこともあり、一部メディアは「独裁強化」「国民への締め付け強化」と見ているが、果たしてそうだろうか。習近平は改革を志向する指導者であり、時代の針をもとに戻すとは考えられない。ここでは中国の国家ガバナンス、政治改革について述べたい。

習近平政権は
政治改革に向かうのか

 議会民主主義制に慣れ親しんでいる我々の視点で見ると、政治改革とは議会民主制へ向けた改革と理解されるが、中国共産党のいう改革はやや異なっている。習近平自身も「国を管理して、国の現代化を推し進めるのは、西洋の制度・モデルの道しかないというのではなく、各国は絶対に自国の道を歩むことができる」と述べており、中国式の政治改革は資本主義国の政治体制に向かうものでないことをはっきりと示している。

 中国共産党は党大会の文書に「社会主義民主の拡大」「人民主体の堅持」「民主のルートの拡大」といった文言を入れている。それは批判をかわすための言い訳でないかという見方もできるが、共産党にとって文書の持つ意味は大きく、そこで書かれていることは実現させることが前提となる。

特に習政権になってから、中央が打ち出した政策の「貫徹・実施」が強調されているため、必ずしも“言い訳”とは限らない。また、中国共産党は20世紀社会主義国のたどった道をよく研究しており、それを党の方針・政策に反映させている。そのため、改革が後退するということは考えにくい。