会社のメンバーがエキサイトする目標設定が
お客様の感動を生むヒット作の誕生につながる

石島:一井さんの昨年の危機感も相当でしたが、今年はさらにパワーアップした感じですね…。

一井:もちろん、カプコンも実力のあるソフトメーカーのひとつだと自負しています。ですが、日本で評価されているからといって満足していると、明日がないということは間違いない。これはどういうことかというと、現在のゲーム世界市場は、欧米のパブリッシャーを中心として、ゲームのクオリティーが上がっている状態です。我々としてももう1、2段、それぞれのブランドやそれぞれのゲームに対する目標設定を引き上げていかないと、世界はおろか日本でも長い目で見ると勝ち残っていけません。

 なぜそこまで言えるかというと、日米の職場におけるパッションの差が歴然としているからです。新しいものに積極的にチャレンジしていくメンタリティの差は歴然としている。この10年、私は日本とアメリカを往復していますけど、カプコン米国支社は最近ずっと「人がとれない」って困っています。GoogleさんやFacebookさんなどがどんどん大きくなって、みんなそっちに就職してしまうから。

 しかも、そこで働いている人間は、私よりも一回り以上若い人たち。そんな人たちが「明日になったらまた新しいものが生まれている」っていうすごいパッションの中で仕事している。メールが来る時間も24時間おかまいなし。そんな国と今の日本が戦えるか考えると、私の危機感もパワーアップして当然でしょうね(笑)。

石島:カプコンといえども、現状に甘んじることは漫然と過去の資産を食いつぶして死を待つことと同じ、なのですね。

 ゲームソフトメーカーの場合、過去の資産とは「モンスターハンター」のような人気シリーズを指します。確実に稼げるシリーズの維持は経営的体力の点から重要ですが、それだけでは開発力の底上げには寄与しません。やはり「ドラゴンズドグマ」のような新作をリリースできる継続力が求められるわけですが、このあたりのバランスはどのように考えていますか。