消費増税後にキャッシュレス決済
はどれくらい増えているのか
消費増税から2カ月が過ぎた。増税の緩和策として打ち出されたキャッシュレス決済におけるポイント還元事業だが、足もとの数字が見えてきた。経済産業省は1日あたりのポイント還元額が11億円強に達したことを明らかにした(11月12日発表によるもの。制度が始まってから4週間の平均額)。これは当初の予定を上回るペースだという。
11億円の還元というと、実際にいくらの消費がなされているか知りたくなる。ただし、還元率には2%(コンビニを含むフランチャイズ)と5%(ネットショップを含む中小店舗)があるので、この数字だけでは計算できない。筆者がキャッシュレス関連事業者に直近の利用状況を聞いているところでは、現在のところ2%の即時割引になるコンビニでの利用が目立つという。もともと電子マネーで支払う利用者が多いことからも頷ける話だ。また、日経新聞が独自に調査したところでも、キャッシュレス決済の主な利用先はコンビニと答えた人が45%だったという。
そこで仮に、11億のうち5億円分をコンビニ利用、残り6億をそれ以外の中小店舗での決済分とざっくり想定して計算してみた。すると、コンビニ利用額が250億円、それ以外の店舗が120億円、合計370億円が1日あたりのキャッシュレス決済額ということになろうか。
1日370億円の消費額というのが多いのかもピンと来ないので、さらに人口当たりで割ってみる。日本の総人口(2019年6月現在)のうち、15~64歳は7517万8000人、65歳以上は3578万6000人、合計すると約1億1000万人となる。電子マネーで買い物をしている15歳未満もいそうだし、キャッシュレス決済には縁遠い高齢者もいるだろうが、ざっくり1億人で割り算してみたら1人当たり370円になった。
かなり乱暴な想定なので、必ずしも実態を表しているわけではないが、11億円の還元を受けるために消費しているのが1日370円とすると、案外少ない印象。毎日コンビニで朝はコーヒー、昼は弁当を買っているビジネスパーソンなら、それだけでこの数字は軽くクリアできそうだ。還元策が消費喚起につながっているかは微妙だが、とはいえ、順当にキャッシュレス決済が増えていることだけは確かなのだろう。