昨年4月、40~74歳の全国民を対象に、いわゆるメタボ健診がスタートした。
正確には特定健康診査(特定健診)といわれるもので、2005年4月に日本内科学会など八学会がまとめたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の定義と診断基準を取り入れているのが、特定健診の大きな特徴だ。
だが、ここにきて「男性85センチメートルの腹囲基準は厳し過ぎる」「腹囲基準を優先しているのは日本だけ」といった批判が高まっている。
内臓脂肪が蓄積した肥満に高血圧や高血糖が重なった状態がメタボだから、メタボ健診ではステップ1として腹囲またはBMIで肥満者を振り分け、ステップ2の血液検査で血圧、血糖値などの追加リスクをカウントしていく。
細かい基準は下の表のとおりだが、腹囲85センチメートル(女性は90センチメートル)を超えると心臓病や脳卒中などの重大な生活習慣病の発症リスクがどれだけ高まるかという正確な医学的データは、まだない。メタボの概念がそもそも新しいもので、病理学的データが十分に蓄積されていないからだ。
日本内科学会は、腹囲、血圧、血糖値などの診断基準の数値については今後の研究結果を踏まえて再検討する旨の声明を今年3月に発表し、現在、関連学会と合同でその作業を進めている。
厚生労働省も「学会で診断基準の見直しがあった場合は、特定健診の基準についても必要な検討を行なう」としている。