医療に限らず、仕事の現場は、すべてうまくいくとは限りません。どれほど心を込めて課題と向き合っても解決できないことはあるし、なぜ自分だけこんな目に遭うのか、と思い悩むこともあるでしょう。

 優秀なビジネスマンほど職場に迷惑をかけてはいけないなど、親の介護をしながらでも仕事も介護も100点を目指し、自分で自分を追い詰めて、逃げ出したくなりがちです。

 ですが、100点取れなくても、無力でもいいんです。大切なのは、逃げずに関わり続けられるレジリエンスを持つこと。これは私が、ホスピスの現場で学んだことです」

 さまざまなところで、「誰かの支えになろうとする人こそ、一番支えを必要としています」と説いてきた。40~50代ビジネスマンはこれまで国や企業、家庭を大黒柱として支えてきたが、実はそういう人こそ支えを必要としており、超高齢少子多死時代では、支えられる人になる。

 そうした時代の到来に向けて、終末医療はどうあるべきか。小澤先生のように、処方箋を考え、行動を起こしている医師は希少だ。

◎小澤竹俊(おざわ・たけとし)
1987年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、94年より横浜甦生病院 内科・ホスピス勤務、1996年にはホスピス病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院、院長として現在に至る。「自分がホスピスで学んだことを伝えたい」との思いから、2000年より学校を中心に「いのちの授業」を展開。 一般向けの講演も数多く行い、「ホスピスマインドの伝道師」として精力的な活動を続けてきた。2013年より、人生の最終段階に対応できる人材育成プロジェクトを開始し、多死時代にむけた人材育成に取り組み、2015年、有志とともに一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立、理事に就任。現在に至る。著書は『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』(アスコム)『折れない心を育てるいのちの授業』(角川書店)等。