中でも友人関係のトラブルはダントツのトップで、約4割を占める。ジャイアンの暴力やスネ夫による仲間はずれが中心である。トラブルに遭ったのび太が「ドラえも~ん」と泣き叫びながら、ドラえもんやひみつ道具に助けを求めるシーンは69回にも及ぶ。

『ドラえもん』の作品は、パワハラなどのいじめ、不登校、自殺志願、環境問題など、現代社会が抱える様々な問題をカバーしている。本書では主に、のび太の行動や思考から導ける、上手に生きるための「のび太メソッド」を紹介している。

◇成功体験で苦手克服

 のび太は、苦手なことを先延ばしにする癖がある。しかし最終的には、目の前の問題を解決するべく行動を起こし、乗り越える。のび太を行動に駆り立てる原動力は何だろうか。著者はそれが「成功体験」であると考える。のび太は、ひみつ道具を使って苦手な問題を克服した経験がたくさんあり、その都度、爽快感や達成感を体験している。

 たとえば、走ることが苦手なのび太に、ドラえもんはひみつ道具「未来のルームマラソン」を出す。この道具の上で走ると、実際に走っただけ景色が変わり、壁をすり抜けることもできる。のび太は東京から九州まで走ってみたいと思うようになった。そこで速さを100倍にし、のび太はジェット機並みの速さで走って九州に到着することができた。のび太は「くたくただけど気もちのいいつかれだ。走ることに自信がもてたよ」とドラえもんに感謝をした。(『ドラえもん(18)』、「のび太が九州まで走った!!」より)

 スポーツや仕事に対して苦手意識があると、克服するエネルギーはなかなか湧いてこない。しかし、思いがけずスムーズに物事が進んだり、勝利したりする成功体験によって、簡単にハードルを超えられる瞬間がある。のび太が「気持ちのいい疲れ」を経験して「自信が持てた」ように、達成感や爽快感を体感することで、苦手意識を克服することができるのだ。

◆のび太の生きかた
◇思い立ったらすぐ行動

 よかれと思ってとった行動が裏目に出てしまうことは誰しもある。そんなときは、「こんなことなら最初からやらなければよかった」と思ってしまう。しかし『ドラえもん』では、後悔するような行動でも、やらないよりやる方がまし、というメッセージが込められている作品が多い。