手取り年収は15年間下がり続けていた!

2020年の手取り年収Photo:PIXTA

 今回は、当連載の年初恒例企画「今年の手取り年収」の試算結果をお届けする。手取り年収とは、各種手当込みの額面年収から「所得税・住民税・社会保険料」を差し引いた金額のこと。

 税制改正や社会保険料率の変更があると、額面年収が同じでも手取り額は変化する。いまから17年前の2003年に、給与の手取り額が大幅に減少する社会保険の改正が行われた。ボーナスからまとまった金額の社会保険料が引かれるようになったことを記憶している人もいるだろう。

 当時、改正直前の2002年と改正後の手取り額を試算し、比較してみたところ、税金や社会保険料の改正が手取り額に大きな影響を及ぼしていることを実感した。以来、毎年1月に「今年の給与の手取り年収」を試算することをFPとしてのライフワークとしている。

 試算をはじめた2003年以降、さまざまな税金や社会保険料の改正が毎年のように実施され、手取り年収は15年間減り続けることになった。「今年の手取り年収」の前に、額面年収700万円を例にこれまでの手取り年収の推移をみてみよう。

 グラフで見ると、手取り年収が減り続けていることが一目瞭然だ。2003年の「ボーナスから引かれる社会保険料のアップ」を皮切りに、毎年のように増税や社会保険料率引き上げが実施され、2002年からの15年の間に手取り年収が50万円も減る結果となった。

 40代以上の人なら「若いころに比べて給料が上がっているはずなのに、貯蓄ができないのはなぜだろう」と思ったことはあるだろう。もちろん、子どもがいる人なら子どもの成長とともに教育費負担がアップしているのかもしれないが、給料の伸び率ほど手取り額は増えてないのも事実である。

 手取り額が減りつづけたこの間は、お金が貯めにくい環境にあったということ。実際に「使えるお金」である手取り額を知ることは、家計運営において重要である。

 グラフから直近4年間の手取り額に変化がないことが見て取れる。手取り額に影響する改正がなかったということだ。ただし、今年は給与に関する税制改正が実施されるため、高年収の人は手取り年収が減少することになる。