大分で生まれ、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。

ハーバードを首席で卒業後、幼い頃から続けているバイオリンを武器にニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業した。

現在はニューヨークを拠点に、バイオリニストとして活動しながら、起業家としても活躍している。

日本から突如、世界のトップ校に飛び込み、途方に暮れるような大量の難題を前に、どう考え、どう取り組み、どう解決していったのか?

著者が学び、実践してきたハーバード流の考える力について、自身の経験を下敷きに、どうすれば個人・組織が実践できるかを、事例やエピソードとともにわかりやすく紹介する。

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何を質問しようか
考えながら
話を聞いて
思考力を上げよう

ハーバード生は授業中に少しでも疑問に思ったり、何か引っかかることがあったりすると、教授に躊躇(ちゅうちょ)なく質問を投げかけます。

それが的外れな質問であったとしても、積極的に疑問点を解消しようとする姿勢や「授業に興味を示す姿勢」それ自体が高評価につながることもあります。

たとえそれほどクオリティが高くない質問であっても、その質問をするには授業の内容を踏まえて問題点を洗い出す多角的な視点が必要です。

それが学生の考える力を伸ばす機会にもつながるからこそ、発言すること自体が高評価につながるようになっているのでしょう。

私の実体験からしても、「何をどう質問しようか?」と考えながら話を聞くと、内容が頭に定着しやすくもあります。

授業で黙っていたら、教授にも周囲の学生にも「この授業に積極的じゃないんだな」とか「質問が出てくるほど考えていないんだな」と思われてしまいます。

日本で講演会に参加してみると、最後の質疑応答で「何か質問がありますか?」と司会者にふられても、シーンと静まりかえることが多いです。

でも、せっかく発言の機会がある場では、「空気を読んで」黙ってしまうより、少しでも気になったことは何か質問をしてみたほうが、その場を最大限に活用することにつながります。二度と会わないであろう参加者たちの目を気にするよりも、講師に直接質問をするチャンスを利用する方が自分にとってメリットがあるのは明らかです。

その点、ハーバード生は、ほぼ全員が空気を読まない気質です。

たとえば有名な人が講演にくると、質疑応答の時間では質問をさばき切れず、壇上の講演者のもとに行列をつくって質問するばかりか、自己アピールを始めます。

この米国の「質問文化」は、初等教育の段階から「他人と違うユニークなアイデア」を語ることが評価される環境に起因します。

まずは1つの機会に1発言を目安にして、自分の考えを発言するクセを身につけていきましょう。私も最初はそこから始めました。

イノベーションと個性を求めるこれからの社会では、何も言わないことのほうがリスクだと思ったほうがいいかもしれません。

少しでも現状に変革をもたらすためには、考えを発言することはリスクではなく、むしろ人々の先頭に立つための武器となるのです。

「的外れな発言をしてしまったら、どうしよう……」と不安な気持ちがよぎるかもしれません。でも、一歩踏み出してみれば、案外まわりから「よくぞ、言ってくれた!」「それ、いい意見だね!」という評価が得られるはずです。

天敵が潜んでいるかもしれない海に真っ先に飛び込む“ファースト・ペンギン”の役割を引き受けてみると、触発されて「私もやってみよう」と後に続く人たちが登場します。ディスカッションが活発になり、チーム全体の考える力が底上げされ、高いパフォーマンスが発揮できるようになるかもしれません。

ハーバードの教授たちのように、会社でも家庭でも発言しやすい環境を整えるのは上司や親の大切な役割の1つです。

チームのリーダーや家庭を持つ人であれば、意見が自由にいい合える雰囲気づくりに配慮してみると、チームのメンバーや子どもたちの力を伸ばすことにもつながると思います。

まずは自分が壁を打ち破ることで、
発言しやすい環境づくりをしてみませんか?