最初にそう言われたとき、A子さんは、自分の全人生を否定されたように感じたという。しかし、子はどんどん引きこもっていく。そこで、あえて今までの自分と逆のことを言ってみた。繰り返し実践してみると、長男の様子がこれまでとは明らかに違った。

「ゲームが人生」の息子が
自ら見せた登校する意思

 長男は「お母さん、今までと言うことが違う」とつぶやいた。その積み重ねをコツコツと続けた。長男がゲームをどんなに続けても、A子さんは黙っていた。

「あるとき、この子の面倒を一生見て行こうと思ったんです。大型犬を飼ってると思って。この子はゲームをするのが人生。やりたいだけやったらいい。私は、私の人生を生きようって」

 そう思ってからも、しばらく長男の「ゲーム人生」は続いた。ある日、長男は「ゲームばかりしてて、いいのかな?」「学校、行こうかな」と言い出した。それでも、A子さんは「やれやれ」という本心は出さず、「そだねー」と、長男の言うことをすべて認めた。

「もう長かった。私はゲーム、大嫌いなんですけど。以前と同じこと言ったら、またベランダ行き。ゲームしていても、生きてくれたほうがいいと思ったんです」

 学校には、自分から行くようになった。

「今でも、現在進行形なんですよ。時々今までの思考が出てくる。それを表に出すと、子どもは反発してくる」

 そのたびに友人に相談すると、「それはダメ。その子の責任なんだから、その子が生きて行けるようにしないといけない」と言われた。悩みを抱え込まずに打ち明けられる、そんな友人の存在も大きかった。