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普通の人もプチホテルのオーナーに!
空き部屋を世界中の人とシェアできるAirbnbとは

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第208回】 2012年8月9日
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 たとえば、宿泊客によるダメージのために最高100万ドルまでの損害補償をつけたのもそのひとつだ。また、宿泊を希望するユーザーには、完全なプロフィール記述や写真を求め、さらに電話番号を確認する手段も設けている。これまでそこに泊まった客、あるいはその家のホストに対するレビューも参考になる他、フェイスブックやリンクトインを統合して、直接、間接の知り合いの家が提供する家を探し出すこともできるようになっている。二重、三重の安全策をつけているというわけだ。

 いずれにしても、このサービスは創設後たった4年と思えないほどの勢いで伸びている。たとえばサンフランシスコ市内で見ると、2008年にはたった数ヵ所しか宿泊場所の提供がなかったが、今や市内を塗りつぶすほどさまざまな場所で、ホストが宿泊客を待っている状態だ。

「シェア経済」を地で行く
Airbnbのこれからの可能性

 Airbnbを創設したのは、2人のデザイナーと1人のエンジニアである。サンフランシスコ市内でデザイン関連の会議が開かれた際に、自分たちのアパートを他人に貸したことがきっかけで、ホストと宿泊客を仲介するサービスに可能性があることに気づいた。

 デザイナー出身の起業家はテクノロジー界では珍しいが、彼らのデザインセンスはビジネスに大いに役立っている。たとえば、家を貸し出したいというホストの元にプロのカメラマンを送り、無料で家の内外の写真を撮影したりすることだ。素人がデジカメで撮ったのではとても演出できないムードいっぱいのインテリア写真が、こうしてAirbnbのサイトに掲載されるわけである。また、有名建築家のフランク・ロイド・ライトの家なども宿泊先として提供されている。これまでは足を踏み入れることすら不可能だった希有な場所に泊まれるというわけだ。

 Airbnbは、予約が成立した際に宿泊料金から3%を徴収し、また宿泊客側には6~12%の手数料を上乗せする。さらに、地元のツアーを行う企業との提携など、サービスの幅を広げている最中だ。同社は、シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルから1億1200万ドルの投資を受けて、リーチを拡大させる資金も十分だ。

 ホストも宿泊客も満足。Airbnbは、ホテル産業を迂回する「シェア経済」を地で行くサービスと言える。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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