ダイヤモンド決算報#資生堂Photo by Rumi Souma

ここ数年、次々に増産計画をぶち上げてきた資生堂。けん引役は、絶好調だった中国人向けビジネスだ。ところが新型肺炎リスクが直撃。高まる中国依存度と国内事業の弱体化という、資生堂の課題が露呈した。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

過去最高益更新もさえない表情
新型肺炎の影響は「見通しつかない」

 ずいぶんと疲れがたまっているのだろうか。決算会見の最中、資生堂の魚谷雅彦社長兼CEO(最高経営責任者)が珍しく、じっとうつむく姿を見せた。

 2月6日に発表された資生堂の2019年12月期決算。売上高は 1兆1315億円、営業利益は1138億円、純利益は736億円と、それぞれ過去最高を更新した。数字的には問題なさそうに見えるが、魚谷社長の表情は険しいままであった。

魚谷雅彦社長兼CEO魚谷雅彦社長兼CEO Photo by R.S.

 魚谷社長の表情がさえない原因として考えられるのは、間違いなく新型コロナウイルスに関連した肺炎(新型肺炎)の流行によるリスクだろう。

 決算と共に発表された今期の見通しは、売上高1兆2200億円、営業利益1170億円と増収増益の計画だ。だがここに、新型肺炎の影響は織り込まれていない。

「(新型肺炎による)売り上げへの影響はさまざまなシミュレーションをやっている。だが、どこまで広がるのか、いつまで続くのか、全く見通しがつかない。今数字を出すのは控える」(魚谷社長)

 資生堂が新型肺炎の影響の試算を公表したがらないのも無理はない。なぜなら中国での売り上げが、業績を大きく左右するレベルにまで成長しているからだ。