英語民間試験
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ダッチロールの末、見送りとなった英語民間試験の利用。しかしながら、見送りの対象は「文部科学省のシステムにのっとった試験」だけで、大学が独自に利用する動きまでは止められない。2024年の本格導入に先んじて、大学の独自利用率はさらに上昇が見込まれることから、受験世帯には本番に備えた“慣らし受験”や通塾・予備校費用が重くのしかかる。(信金中央金庫 地域・中小企業研究所主席研究員 佐々木城夛)

文科省が英語民間試験の導入を見送り
それでも大学側が独自活用を始める理由

 春の日差しに包まれた4月初旬、厳しい受験戦争を勝ち抜いて合格を果たした高校の入学式。真新しい制服姿の子と親が正門へ向かう道すがら、ものすごい数の業者に次々とパンフレットを手渡される。

 講堂で式典を待つ間に受け取ったパンフレットを見ると、その多くに「英語民間試験対応」の記載が。中には、「令和3(2021)年度大学入試選抜で過半数の大学が採用」「9種全ての受検費用は総額14万円強」の文字もある。

 心中で「えっ!あれは中止になったのでは……」といぶかりつつ、「14万円強」の費用に「そんなに高いのか」と動揺する親。将来は得意の英語を生かして大学入試に臨みたいと考える子は、そんな親を不安そうに見つめる――。

 これが、社会的関心の高い大学入学共通テスト、なかんずく英語民間試験活用がもたらす影響だ。