(3)歯のケアを欠かさない

 80代にしていまだ海外、それも情勢が不安な場所で仕事をしている方がいます。帰ってくるのにも丸一日がかりのその国から、年に一度帰国して何をするのかというと、「歯の手入れ」なのだそうです。

 実際、歯にトラブルがあると食事の内容も変わらざるを得ません。農林水産省の低栄養予防の食生活指針14カ条にも、「噛む力を維持するため義歯は定期的に検査を受ける」とあります。

 好きな物が食べられなくなることは気力を、ご飯を食べるのに不自由になることは体力を奪いやすくなります。やわらかいものばかり食べるようになると、歯が弱くなって噛む力自体も後退していきます。そうすると、低栄養にならないためにタンパク質をとろうとしても「お肉は食べられない……」となってしまうかもしれません。

 口臭が気になるという方も、口臭ケアだけで終えていませんか?それだけでは不十分。定期的に歯科チェックをして、口の中も健康に保つようにしましょう。

 60歳以降も元気に働き続けるためには、健康的な食習慣を送ることが必須条件です。すぐに習慣を変えるのは難しいことですが、その改めた食生活が今後の元気な自分の土台となるはずです。

 先日、お話しする機会があった日本を代表するグループ企業の60代の役員の方は、深夜残業や接待が当たり前だった時代に会社から遠い場所に家を買い、通勤時間が長いのを理由に、遅くまでお酒を飲まないようにしていたそうです。通勤時間の長さは負担でしかないと思っていましたが、「自分を律する機会になる」という新しい視点をいただくとともに、環境を“言い訳”ではなく“味方”にする思考は、元気に働き続けるためのキーポイントのようにも思いました。

 人生100年時代、できるところから自分の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)