中国湖北省・武漢で今月10日、ツー・チュンシアさん(36)は雨が降る中でひどく咳き込みながら歩道に座っていた。新型コロナウイルスによる肺炎の治療が受けられるかもしれない施設への搬送を待っていた。だが迎えは来なかった。彼女を診察した医師はウイルス感染をほぼ確信したが、喉の組織を綿棒で採取した検査の結果は「陰性」だった。「それでは資格がないと言われた」。2人の娘がいるツーさんはこう話す。「彼らが求めたのは陽性の結果だ」新型ウイルスの震源地となった武漢では、住民の間で中国衛生当局が診断に用いる検査キットの正確さをめぐり、疑念が広がっている。世界の医療専門家は、感染拡大の規模が中国のデータが示すよりはるかに深刻な可能性があると危惧する。その大きな理由は検査に潜在的欠陥があるとの懸念だ。一部の専門家は、武漢の数万人以上の住民がコロナウイルスに感染しているとの見方を示すが、同市政府は集計値を2万人足らずとしている。
新型肺炎検査に疑問符、武漢住民「偽陰性も」
新型ウイルス感染症状があっても検査で陰性になれば経済的な負担も
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