このような場合、自治体の国民健康保険担当部署の窓口に申し出れば、「短期保険証」の交付を受けることができ、自費負担は3割となる。子どものいる世帯に対しては、申し出がなくとも「短期保険証」が発行される。

 しかし問題は、「警戒されている感染症のリスクが高まっている場面で、患者かもしれない人や、患者になる可能性が高い人が、自治体の窓口を訪れる」ということそのものだ。子どものいる世帯に対しても、短期保険証を郵送せず、窓口に取りに来るように求める自治体が多い。

 2009年、新型インフルエンザが脅威となっていた時期、厚労省は通知を発行し、資格証を短期保険証とみなすこととした。この通知に加えて、柔軟に独自判断を行った自治体もある。

 たとえば堺市は、資格証世帯に対し一律に短期保険証を郵送した。また町田市は、「事前に連絡があれば3割負担」という対応を行っていたが、感染が拡大したため、資格証世帯に対して一律に1年間有効の短期保険証を交付した。

「貧困自己責任論」を
唱えている場合か

 このような取り扱いは、通常時であれば「健康保険料を納めている私と、納めていない人たちが、同じ条件で医療を受けられるなんて不公平だ」という不満の声につながるだろう。常態化すれば、「健康保険料は納めなくても損しないから、納めないのがトク」という“ライフハック”が流行し、公的保険そのものが崩壊するかもしれない。

 しかし、多くの人々に怖れられる感染症が流行している時期には、そのような意見は表面化しにくい。出現しても、広く支持されることは少ない。