【カラカシュ県(中国)】中国でイスラム教少数民族の監視にあたる当局が作成した内部文書が明らかになった。定期的にモスク(イスラム教礼拝所)に通っているか、パスポートを所持しているか、法的問題を起こした友人や親族はいるかといった、監視対象者の詳しい情報がスプレッドシートにまとめられている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などの報道機関に提供されたのは、新疆ウイグル自治区のカラカシュ(墨玉)県で作成された137ページに及ぶ内部文書のコピーだ。同自治区には数百万人のウイグル族など主にイスラム教徒の少数民族が暮らすが、複数の人権団体によると、ここ数年間に最大100万人の住民が再教育キャンプに収容されている。
当局者はこのキャンプを職業訓練学校だと説明する。同自治区の主席は12月、受講生は全員無事に「卒業した」と語った。今回流出したスプレッドシートは、誰を引き続き拘束し、誰を解放するのか(解放後は自宅で「管理下に置く」ことが多い)を当局が決めるための資料とみられる。
例えば、エントリー番号114の37歳男性についてはこう書かれている。「家族5人がパスポートを申請。旅行を考えていた」。さらにこの男性は「実兄のまひを巡って恨みを抱き、社会への復讐(ふくしゅう)を望む。家庭内の宗教的雰囲気は強い」
最後にこう結ばれていた。「訓練を続けるよう勧告する」
この文書にはカラカシュ県で拘束された311人の情報が記載されており、この取り締まりを新疆の過激主義との戦いだと位置づける中国当局者の考え方を知る貴重な手がかりとなる。
リストアップされた各人物がどのキャンプに収容され、理由は何かといった詳しい情報がこの文書でわかる。新疆の著名研究者であるアドリアン・ゼンツ氏は17日に公表した論文で、スプレッドシートの氏名とID番号は他のデータとの整合性がある上、同自治区の他の政府文書によく見られる用語が使われていると指摘した。
中国外務省と新疆ウイグル自治区政府は、コメントの求めに返答がなかった。