メディア環境研究所が6月に発表した「メディア定点調査2012」によれば、東京におけるスマートフォン所持率は31.0%と、前年の16.5%から急増している。喫茶店でもふと店内を見回せば、女性客が手にしている携帯がすべてiPhoneということも珍しくない。
そんなトレンドに乗ってスマホに買い替えたのはいいけれど、文字入力には不便を感じているという人も少なくないだろう。タッチスクリーンでの文字入力で悩ましいのは、指先の感触を頼りにしたブラインドタッチができないことだ。フリック入力やソフトキーボードでの入力も、慣れればそこそこ速いものの、指先からのフィードバックという要素を欠いているため、物理キーボードのように、画面に視線を固定したまま触知感を頼りに文字入力をするといったことは難しい。
このようなスマホの文字入力の不便さを解消する、と期待されているのが、米国のスタートアップ企業タクタス・テクノロジーが開発中の驚きの新技術。タッチスクリーンそのものから瞬時に物理キーボードを出現させ、また瞬時に引っ込められるという。同社はこれをTactile Layerと名付け、2013年半ばの製品化を目指している。
タッチスクリーンに指先の触知感を追加するには、バイブレーションを利用する方法と、このTactile Layerのように物理的な突起を加える方法の二通りがある。
前者のバイブレーション方式は、じつはスマートフォンやタブレットPCの多くに一応は組み込まれている。ただし現行の方式では、どこを押したかに関わりなく機器全体が振動するため、かえってわずらわしく、解除している人も多いのでは。
その問題を解決し、物理キーに近いフィードバックをもたらすために、さまざまな取り組みがなされているのだ。
新型iPadへの搭載が噂されたタッチパネル
京セラがKDDIと共同開発し、ワイヤレスジャパン2011に出展した「Hapticタッチパネル」は、タッチパネルをある程度押しこむことで反応するなどの仕組みでクリック感を創出したものだ。ただし、画面全体が振動することに変わりはないし、現時点ではまだAUのラインナップに搭載されるまでには至っていないようだ。