ラジーブ・ミスラ氏にとって、それは大抜てきだった。元銀行員でウォール街の職を渡り歩いた同氏は2017年、史上有数規模の巨大投資ファンドの運営を任された。  運用資産1000億ドル(約11兆円)を誇るソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドでトップに上り詰めたミスラ氏の出世物語は、従来のサクセスストーリーとは違う。その成功の裏には、ソフトバンク社内の2人の主要ライバルを標的にした巧みな妨害工作もあった。  彼らに関する良からぬニュースを流したり、ソフトバンクに彼らの解任を迫るよう株主を扇動したり、「ハニートラップ」で性的恐喝行為を企てようとしたりさえした。