安倍晋三首相
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安倍政権は「緊急事態宣言」を可能にする法案の成立を急いでいる。安倍政権が私権制限を含む「緊急事態法制」の成立を目指すことについて、納得できない、または不安な国民は少なくないだろう。そんな人を含めた全ての人に、法案が成立してしまった後こそ本当の「戦い」が始まることを伝えたい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

緊急事態宣言を可能にする法改正に
中国・韓国の「入国制限」強化

 安倍晋三内閣は、全国の小学校・中学校・高校に臨時休校を要請して以降、新型コロナウイルス対策を矢継ぎ早に打ち出し始めた。「緊急事態条項」を柱とする既存の「新型インフルエンザ対策特別措置法」の改正を表明。首相は野党党首と会談し、早期成立へ協力を求めた。

 また、安倍内閣は中国や韓国からの入国者に対し、宿泊施設や医療施設など検疫所長の指定する場所で2週間待機し、公共交通機関を利用しないことを要請した。発行済みの中国約280万件、韓国約1万7000件のビザ(査証)を無効とし、両国からの航空便の到着も成田国際空港と関西国際空港に限定する、「入国制限」の強化を行う。

 急に動き始めた安倍内閣に対して、賛否入り乱れて百家争鳴状態となっている。首相の指導力発揮については肯定的な意見もないわけではない。しかし、これまで「対応が後手に回った」と批判されたことに焦り、首相主導をアピールしたいという狙いが露骨に見られる。専門家の意見を無視して「唐突」に決定を行ったことで、現場の混乱を招いたと、厳しく批判されている。