コミュニティの声から新商品「AQUA WITH」が誕生
――コーヒーマシンとウォーターサーバーを組み合わせた日本初の一体型マシン「AQUA WITH」がヒット商品になっていますね。ネスレ日本との共同開発と聞いていますが、そもそもの発端はコミュニティの声だったとか。
伊藤 15年頃にコミュニティのデータから、ウォーターサーバーとコーヒーマシンの相性がよく、使っている方の属性も近しいということがわかり、「ネスカフェ ドルチェ グスト」のコミュニティサイトを運営していたネスレ日本さんをクオンさんにご紹介いただきました。コミュニティ同士であればコラボレーションするハードルも高くなく気軽に取り組めるとの事で、まずはコミュニティの中でお客さまの声を聴き、双方のニーズや親和性を確認するところからスタートしました。その結果、「おいしいお水でおいしいコーヒーを淹れる」という機能的な親和性だけでなく、「毎月一定の費用をかけてでもおいしい水、おいしいコーヒーを飲みたい」「時短になる」「新しいものに敏感」といったお客さまの価値観が似ていることがわかりました。
堀 一般的にコーヒーマシンには、水の補充に手間がかかったり、タンクの水が少し残ってしまったりするという課題があります。それをクリアしたのが「AQUA WITH」です。一体型のため、水を補充する必要がなく、直接1杯分だけを吸い上げることができます。12リットルのウォーターボトルなら1本で約85杯分(「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ 50[Fifty]」でブラックコーヒーを抽出した場合)のコーヒーを抽出できます。先ほどウォーターサーバーは差別化が難しいという話をしましたが、「AQUA WITH」は完全に比較対象がなく、新しいカテゴリーを開発できたことの意義は大きいと思います。
伊藤 新しいユーザー層の開拓もできました。ネスレ様と弊社のメインユーザー層は異なっていましたが、AQUA WITHの発売によって、両社にとってもユーザー層を広げられる商材になっています。また、従来、アクアクララは個人利用のお客さまが多かったのですが、「AQUA WITH」によって、法人利用も増加しています。
データマッチングにより潜在ニーズを捉えてサービスを改善
――コミュニティで得た知見のデータ分析を、どのようなことに活かしているのでしょうか。
伊藤 データ分析からコミュニティ内の発言には、直接的に申込みにつながるものやアクアクララを知っていただくきっかけになるものなど、お客さまの態度変容に寄与しやすいコメントがあることがわかりました。
クオンさんにはこのようなところまで分析してもらえるので、態度変容に寄与しやすいコメントや一緒に投稿されている画像を当社の媒体やSNSにつかったり、コミュニティ外に発信することができています。
昨年当社の会員サイトをリニューアルしましたが、コミュニティのデータと顧客データのマッチングをより強化し、潜在的なニーズの把握に活かしています。
堀 20年1月15日に、「べビアクアプラン」をリニューアルし、新プラン「子育てアクアプラン」をスタートしました。実は「子育てアクアプラン」はデータマイニングを参考にして生まれたサービスです。分析の結果、解約率が上がるタイミングや、そのきっかけとなるポイントの傾向が見えてきました。それらを解決するためのプランも我々の中でわかっていたため、新プランへの変更を実行しました。「べビアクアプラン」の対象は妊産婦から3歳未満のお子様がいるご家庭でしたが、新プランでは、妊産婦から未就学児のお子様がいるご家庭にまで対象を広げています。
伊藤 「子育てアクアプラン」と同時にスタートした「子育てアクアお試しセット」もデータマイニングを参考にしています。ウォーターサーバーの利用開始から価値を実感できるまでには一定の時間がかかるため、コミュニティで長期間モニター利用をしていただくことで入会に至るお客さまが一定数いらっしゃいました。通常の無料お試しプランは1週間でボトル1本の体験ですが、お客さまとしては、十分にサービスを体験するには期間が短いのかもしれない。気軽に体験できるだけでなく、しっかりとサービスを体験し、納得して使っていただくことも重要です。そのため、子育てアクアお試しセットは、低額で長期間利用できるように「2490円でボトル5本、最大3カ月間お試しが可能」としました。まだ試験的な取り組みではありますが、初速は好調です。