イ・マンヒ新天地総会長
Photo:JIJI

韓国で頻発するキリスト教系新興宗教団体での新型コロナウイルスの集団感染。2月中旬に大邱(テグ)市での「新天地イエス教証しの幕屋聖殿(以下、新天地)」の大規模礼拝を発端に2000人を超す規模のアウトブレークが起こって以降、3月中旬には城南(ソンナム)市の「恩恵の川教会」で52人、富川(プチョン)市の「富川生命水教会」で15人、水原(スウォン)市の「水原生命泉教会」で10人と、首都圏ソウル近郊で新たな集団感染が相次いで発生した。沈静化の兆しが見える度に新興宗教団体からアウトブレークが起こる韓国。その背景には韓国特有の事情があった。日本に進出している韓国系新興宗教団体の動向と併せレポートする。(ジャーナリスト 鈴木エイト)

新天地の礼拝が
アウトブレークの震源地に

 韓国でまず問題となったのが新天地だ。1984年に創設された新天地は「イエス・キリストの再臨で不老不死」を標榜するイ・マンヒ(李萬煕)総会長が教祖。週に2回、水曜と日曜に信者同士が密着状態で礼拝を行う。新天地は狙いを定めた教会に“収穫の働き人”と呼ばれる工作員信者を派遣、潜伏させ、数年単位で信者を改宗、代表者を追放して教会を乗っ取ると指摘する向きもある。

2014年に来日した新天地の教祖イ・マンヒ
2014年に来日した新天地の教祖イ・マンヒ(李萬煕)総会長(撮影:藤倉善郎)

 今年2月16日に大邱市の新天地支部で行われた1000人規模の礼拝に参加した60代女性信者から感染が拡大、19日以降順次判明していった。3月初旬には韓国国内の新型コロナウイルス感染者の7割以上が新天地から派生したと報じられた。

 教団が信者に対して「感染は新天地をつぶそうとする悪魔が起こした」「他の教会の礼拝に参加してウイルスをうつして新天地だけが感染を拡大させたわけではないようにしろ」などと指示していたことも発覚。韓国当局に対して「宗教弾圧だ」として非協力的な態度を取っていたことに非難が集中した。さらに適切な処置を怠ったとしてソウル市が殺人罪で教祖のイ・マンヒ総会長を告発するとの報道に慌てた教団は、急遽会見を開き、教祖が土下座して謝罪した。