新型コロナウイルスが
各国の実態経済・金融市場に深刻な影響
韓国や、イタリアをはじめとする欧州各国さらには米国で、新型コロナウイルスの感染が続いている。その勢いはなかなか衰えを見せず、各国政府とも感染の拡大に躍起になっている。それに伴い、人々の動線は大きく阻害され、実態経済・金融市場にも深刻な影響が出始めている。
中でもの韓国の状況は楽観できない。大邱市での感染拡大に歯止めがかかりつつあるとの見方が出始めた矢先、首都ソウル近郊の教会でも集団感染が発生した。輸出依存度の高い韓国経済にとって、感染の影響から世界全体で供給(生産活動)が落ち込み、人々の動線が寸断されたことは大きい。2月、韓国の自動車生産が前年同月比26%減となったのは、事態の深刻さを示している。韓国中銀は緊急利下げを行ったが、韓国株、ウォンともに売られた。
一方、イタリアでは、感染の拡大ペースに医療体制が対応できなくなりつつある。ミラノに住む知人は、「当たり前の日常生活が崩れていく」と話していた。状況はかなり厳しいようだ。また、金融政策の限界と財政の悪化懸念から、イタリア国債の金利が上昇している。不良債権処理の遅れる銀行システムへの不安も強い。
今後、感染の拡大が想定以上に長引くと、需要と供給がいずれも制約を受け世界経済全体が縮小均衡に向かうとの悲観的な見方も出ている。各国中銀が金融緩和を進めることによって経済を支えることには限界が見え始めている。今後、政治の役割が一段と重要性を増すことになる。世界各国が連携して大胆な財政支出などを進めつつ、感染対策などを徹底して人々の安心を醸成できるか否かが問われる。