新型コロナウイルスによる世界経済不安で日本市場も大暴落した。日経平均株価は2万3000円台から一気に1万6000円台へ(3月18日現在)。未だ底が見えない状況だ。
そんな中、「投資」を職業としているトレーダーはリスクについてどう考えているのか。現在発売中のアエラ増刊『AERAMoney今さら聞けない貯金の基本』では、リーマン・ショックなど数々の市場不安を乗り越えながら利益30億円を突破したトレーダー、テスタさんにインタビューを行っている。この記事ではテスタさんの「リスクに関する考え方」から、とっておきの部分を抜粋してお届けする。
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投資にリスクは付きものだ。取るリスクが大きいほど期待リターンも大きく、その逆も真なり。これまで30億円以上の利益を積み重ねてきたテスタさんは、どれほどのリスクを取ってきたのかと思いきや、開口一番、言い切った。
「僕は、投資でリスクを取っていません」
は? 意味がわからない。リスクを取らずに「億り人」(資産が1億円を超えたトレーダー)になったとは、いったいどういうことなのか。
「リスクを取ると、いつか必ずつまずきます。投資の世界で長く勝ち続けている人はリスクを取っていないと思いますよ」
2005年に株取引を開始し、市場の数々の暴落を乗り越えて資産を増やしてきた実力派トレーダー。自身のブログ「投資家テスタの投資日誌」には「目指せ利益40億」の副題が掲げられている。
「投資の損益を包み隠さずブログに記録してきました。負ける日もあるので、ギャンブルに見えるかもしれませんが……」
話をわかりやすくするために、テスタさんは例え話で説明してくれた。
「ジャンケンで『勝ち』と『あいこ』で掛け金が2倍になり、『負け』のときはゼロになるゲームがあるとします。ジャンケン1回だけなら、たまたま確率3分の1の『負け』になることもあり、2回続けて負けることも珍しくない。つまりジャンケン数回ならギャンブルになってしまいますね。しかし、このゲームを何千回と繰り返していくと、平均化されて勝率は3分の2に近づいていきます。『勝ち』と『あいこ』が掛け金2倍なわけですから、トータルでプラスになるのが最初から見えていますよね」