米国が手術用マスクやN95防護マスク、人工呼吸器の調達に奔走する姿は、入り組んだサプライチェーン(供給網)に重要な医療用品を依存する欠点を浮き彫りにし、グローバリゼーションという通念にまたもや難題を突きつけている。米国では31日、全米がほぼ封鎖状態にある中でも、新型コロナウイルスの感染症による死者は10万~24万人に上る可能性があると発表された。世界で人口が最も多く、人口密度も高い中国が発表した新型コロナの死者は、4000人を下回る。公衆衛生がこれほどの規模の大惨事に至るには、常に1つ以上の原因がある。中でも明白なのは、米行政府が何週間にもわたって脅威の深刻さを否認し、検査の拡大で後れを取ったことだ。ただ、多くの米国人にとって最も不可解なのは、世界一富裕で最高のテクノロジーを誇る国家がなぜ、市民や医療従事者に命を守る医療機器を供給できないのかということだ。
世界一の富裕国、なぜマスクが手に入らないのか
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