原子力空母の艦内では、ソーシャルディスタンス(他者との距離を確保する)という贅沢な措置は不可能だ。それを頭に入れた上で、米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」艦内での新型コロナウイルス感染拡大を受けて支援を要請したブレット・クロージャー艦長が2日に解任された件について、一言述べておきたい。多くの人々は、搭乗員を守るために声を上げたヒーローとして、すぐさまクロージャー艦長をもてはやした。3月30日付の艦長の30ページにわたる書簡は先週、マスコミにリークされた。同書簡の中でクロージャー氏は、ウイルス被害の拡大を食い止めるため、4000人前後の搭乗員をグアムで緊急下船させ隔離措置を実施する必要があると訴えた。これは緊張感のある言葉だ。同艦長は「今行動しなければ、われわれは、最も信頼する資産である船員の保護に失敗することになる」と指摘した。だれが書簡の内容をリークしたのかは明らかになっていない。
【社説】米空母艦長の解任と新型コロナ
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