世界が新たな大恐慌を招くことなしに新型コロナウイルスの大流行を抑制するため苦闘している間も、中国は必要不可欠な情報を隠し続けている。その情報は、世界中で何億人もの人々を困窮させかねない経済崩壊の危機を大幅に緩和し、命を救うものだ。その隠蔽(いんぺい)とは、中国共産党の失敗と偽りによって地域的な流行が、過去何十年かで最悪の世界的大惨事へと発展した際の隠蔽とは別のものだ。今回の新たな隠蔽は、さらにずっと恥知らずなものだ。中国は、この疫病に関する必要不可欠な情報を、大規模に改変し続けているのだ。その証拠は、多くの筋から示されている。米政府の機密文書によれば、米情報当局は、中国が死者数と感染者総数を過小に報告していたと結論付けている。エコノミスト誌は、中国の公式統計と他の諸国の統計の比較から、こうした中国側の示す数値が、地方当局者らの解任・交代などの政治的事象に対応して劇的に変化していたことを突き止めた。米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のデレク・シザーズ氏がまとめた報告によると、控えめな数値と推計を用いても、中国での新型コロナ感染者は290万人に上るとみられる。これに対し、中国政府の公式集計では感染者は約8万2000人とされている。シザーズ氏が正しいとすれば、中国が隠している感染者の数は、世界の中国以外の地域で報告されている感染者の総数を上回っていることになる。