トランプ米政権の新たな軍縮問題特使となったマーシャル・ビリングズリー氏は、多くの専門家が不可能に近いと指摘する交渉に挑むことになる。それは、中国、ロシア、米国のすべての核兵器が対象となる軍縮合意だ。ドナルド・トランプ米大統領は1年にわたり3カ国の政府による核軍縮合意を目指してきたが、ビリングズリ―氏の前には複数の大きな難問が立ちはだかっている。中国は交渉のテーブルに着くよう求めてきた米国の要望をはねつけてきた。ロシアは自国の戦略的核兵器を新たな合意に含むことにずっと二の足を踏んでいる。合意形成までの時間も限られてきている。ロシアと米国の長射程の核戦力などを制限する新戦略兵器削減条約(新START)は、2021年2月初めに期限を迎える。両国が同意すれば最長で5年間延長できるが、米政府は延長を検討しているとしつつも、意向は明らかにしていない。