ベーシックインカムの社会実験
と思えば、可能性が大きく広がる

 では、政府は本当はどうしたらよかったのでしょうか。

 今回の一律10万円給付政策は、実は日本初の本格的なベーシックインカム実験です。働いた分とは別に、生活に最低限必要なお金を広い対象者すべてに配ろうというのが、ベーシックインカムという考え方です。よく生活保護と混同されるのですが、ベーシックインカムはできる限り多くの人に平等に配ることを前提に考えます。

 こうした考え方が生まれた理由には、人工知能が発達して近い将来、人間の仕事の多くが減少したり消滅したりすることが確実だと見られていることもあります。機械が仕事を奪うなら、その分はベーシックインカムとして人間に戻してあげないと経済は回らない。そういう考え方から広まったのが、ベーシックインカムの思想です。

 ただ、このベーシックインカムは考え方が斬新で、旧来型の経済政策には馴染まないため、世界中で議論されながらも、北欧の一部の都市のように限定的な場所で、しかも社会実験としてしか行われてこなかったのが現実です。

 ところが今回の新型コロナでは、日本だけでなく世界各国が一斉にベーシックインカム的な支援を開始しています。その中には、日本をはるかに超える規模の支援策を表明している国もあります。

 日本の場合、政府が本当はどうしたらよかったのかというと、これは私の勝手な意見ですが、12兆円ではなく120兆円の補正予算を組むべきだったと思います。そうすれば毎月10万円を、今年の5月から来年の2月くらいまで配り続けることができます。