アレックス・ラム氏がiPhone(アイフォーン)で「SARS」と入力すると、マスクの絵文字が現れた。香港では他の人々も同様の経験をしている。これは、2000年代初めにラム氏が暮らす香港の市民生活を脅かした感染症の置き土産だ。重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスに感染した経験を持つラム氏は「香港の誰もが2003年の厳しい状況を覚えている」と語り、同じことを繰り返したくないとした。新型コロナウイルスが出現した際、彼はすぐに人前ではマスクを着用し、手を洗い、人混みを避ける習慣を始めた。また80代になる母親のもとを訪れるのを自主的にやめた。母親の感染リスクを減らすためだ。多くの欧米諸国よりもアジア諸国・地域の方が新型コロナ感染症(COVID-19)にうまく対処しているように見える理由の1つとして、SARSなど過去の疫病流行の経験から得たパンデミック(感染症の世界的大流行)に対するより深い理解があったことが指摘されている。