ブレないことが、存在理由のひとつ
「これからもマイペースで走り続けたい」

 テレビ出演があることで、“さだまさし”という名を知っている若者も多い。

「そう、“さだまさし”のことは知っているんだよね(笑)。でも、どんな歌を歌っているかは、よく知らない。現代では“音楽は聴くもの”というより、参加するものに変わってきていますよね。でも、すべての若者がそう思っているかといったら、そうではない。わずかではあるけど、10代、20代の人たちが僕の歌に食いついてくることがあるんですよ。少数派になってしまったけど、ちゃんと構えて音楽を聴いてくれる人たち……そういう人たちにこれからも働きかけるのが、僕の仕事だと思っています。『あのときブレなくてよかった』という音楽をやっていたいという思いは常にあります。ブレないことは、自分の存在理由でもある。これからもマイペースで走り続けたいと思っています」

「ニューアルバムをリリースすることは、
僕にとって、“現役でいる証”みたいなもの」

2020年5月20日(水)発売 
さだまさし 
ニューアルバム 『存在理由~Raison d'être~』 
(ビクターエンタテインメント 3500円+税)
2020年5月20日(水)発売
さだまさしニューアルバム
『存在理由~Raison d'être~』
(ビクターエンタテインメント 3500円+税)

 その「存在理由」という言葉を冠した通算46枚目のアルバム『存在理由~Raison d'être~』が、5月20日にリリースされる。フランス語の「Raison d’être」(レゾンデートル)は、日本語では「存在理由」や「生きがい」という意味を持つ。

「この3月4月は、本来ならば『さだまさし アコースティックコンサート2020』の最中で、予定どおり行われていたら、発売日(での完成)はギリギリかな……と思っていたのですが、残念ながらスタジオにこもるしかなくて、思いがけず早く仕上がりました。いまの世の中の雑音とか恐怖心のなかで、音楽に集中できたのかもしれません。活動47年目で、アルバム46枚。ニューアルバムをリリースすることは、僕にとって、“現役でいる証”みたいなものなんです」

 このアルバムには他アーティストへの提供楽曲のセルフレコーディングや、2008年のクリスマスに放映されたテレビ番組「クリスマスの約束」で小田和正さんと共作した「たとえば」、東京藝術大学学長の澤和樹氏が作曲、ヴァイオリンソロを担当したインストゥルメンタルナンバー「さだまさしの名によるワルツ」や、昨年末アフガニスタンで凶弾に倒れた、中村哲医師を偲んで書いた曲という「ひと粒の麦~Moment~」などの新曲も収録されている。

「クラシックの最高峰である東京藝術大学学長と一緒に音楽作りができたという素晴らしい体験は、少年時代の自分に会えたら自慢したいくらいに感激した出来事でしたね。こんなふうに、ちょっとずつ自分のやりたいことができるようになってきているんです。これからも音楽のグレードを下げたくないし、もっともっと上げていきたいと思っています。この年齢になると、いろんなことが怖くなくなるんです。病気になって活動ができなくなっても仕方がない、とも思っている。でも、やりたいことがまだやり終えていないので、いま止まるのはもったいないという思いが強いんです。歌いきっていない歌もあるし、書ききっていない小説もたくさんありますからね」