たとえば、店舗が提示するQRコードを購入者が読み取ることで会計を行う決済方法では、いつの間にか店舗側のQRコードが張り替えられ、売上金が犯人の口座に送金されるという事件があった。また、購入者が自身の持つQRコードを店側に提示し読み取ってもらう形式の決済では、犯人が被害者のQRコードが表示されたスマホの画面を会計待ちの列に並んでいる最中に盗撮し、不正利用したという事件が中国で起きている。

 こうしたキャッシュレス決済を悪用した詐欺被害について、さまざまな詐欺被害に詳しいグラディアトル法律事務所の弁護士である清水祐太郎氏は、こう語る。

「当事務所では、『PayPay』のサービスの提供が始まった2018年頃から、こうしたキャッシュレス決済に関する相談が増えてきた印象があります。増えてきたとはいっても、まだまだ現金をだまし取られる詐欺被害のほうが多いですけどね。しかし、実際の被害件数は、我々が把握している以上に多いと思います」(清水氏、以下同)

 というのも、キャッシュレス決済のほとんどは被害額が少額で、被害者側が「このくらいの金額なら、弁護士や警察に相談するほどでもないか…」と諦めてしまうことが多いからだという。

数千万円をだまし取る
「仮想通貨詐欺」も増加中

「手軽な決済方法なので、お金を使っている、お金が出ていくということを実感しづらく、そこが加害者たちに狙われてしまうポイントになっているのです。少額ならなおさらでしょう。キャッシュレス詐欺は、従来のような数百万円以上の大きな額ではなく、数千円~数十万円という少額な被害が多い。だから相談も少なく、メディアでも報道されにくいため、あまり周知されていないのです」

 被害者が諦めてしまうことが多いため、被害総数が明確にならないというわけだ。明るみに出ないだけで、多くの人が知らず知らずのうちに被害者になっている可能性がある。それが、「キャッシュレス詐欺」の恐ろしさなのだ。

 ほかにも、キャッシュレス決済の特長でもある「手軽さ」が、より犯行がしやすい状態にさせるという。