ソフトバンクグループが18日発表した2020年3月期の決算は営業損益が1兆3600億円余りの過去最大の赤字となった。10兆円規模のテクノロジーファンド「ビジョン・ファンド」で投資先の評価損が膨らんだ。シェアオフィスを手掛ける米ウィーワークの評価額はかつての470億ドル(約5兆0510億円)から、今やわずか29億ドルに激減。それ以外でも、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなどへの投資は、とりわけ旅行関連など多くの新興企業を新型コロナウイルスが直撃する中、1-3月期に合わせて94億ドルの損失をビジョン・ファンドにもたらした。ソフトバンクの孫正義会長兼社長は、パンデミック(世界的大流行)が収まれば、投資先のユニコーン企業が再び羽ばたけるとの期待を寄せる。ビジョン・ファンドは2017年の設立以降、47社への投資で損失を出し、利益が出たのはわずか26社にとどまる。ベンチャーキャピタルファンドにとっては、多くの投資案件で損失を出す一方で、少数の勝ち組で大半のリターンを稼ぐのは普通のことかもしれない。だが、投資先が一握りの企業、しかも既に評価額が極めて高い企業に集中しているビジョン・ファンドにとって、それは一段と困難になるかもしれない。しかもファンドの資金のおよそ4割は債券に似た性質の優先株で調達しており、たとえ投資が不調でも年間7%の配当を支払わなければならない。
ソフトバンクの曇ったビジョン、投資家は要注意
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