日本経済は強い? 弱い?

男性:しかし、世界はまだ日本は経済的に強いと思うから「円高」になるわけですよね。

出口:本当に日本は経済的に強いのでしょうか? 
 ファクトベースで考えることが大切です。
 数字で見たら、この30年間の日本の平均経済成長率は、年間2000時間働いてたったの1%です。

男性:それなのに、なぜ円高になるのでしょうか。

出口:それは簡単です。衆議院も参議院も自民党の圧倒的多数で支持率も高いからです。
 だから、政策が変わらないので、円は簡単には動かないだろうと見るから、円に投資するだけで、お金を一時的に円に替えておけば動かないから安心だ、つまり一種の雨宿りですね。

男性:日本経済が強いから円高になってるわけではないと。

出口:はい。経済は全然ダメだと思います。
 より正確にいえば、長期的に見れば現在の水準は円高ではなく円安です。
 日本は年間2000時間働いて1%成長、ヨーロッパは1500時間働いて2%成長、アメリカは1700時間働いて3%成長しています。
 平成の30年間のGDP(国内総生産)の世界シェアの推移を見たら、一目瞭然です。
 なお、GDPのシェアは「購買力平価」で見るのが一番わかりやすいでしょう。