英金融大手HSBCホールディングスは過去150年にわたり、東洋対西洋の厄介な地政学的関係の間で中立の姿勢を維持してきた。だが現在、香港の未来を巡り中国政府への支持を表明したことで非難の嵐に直面している。同行のアジア地域最高幹部ピーター・ウォン(王冬勝)氏は、中国政府が香港の統制を強めることになる「国家安全法」を支持する文書に署名した。HSBCが中国政府への支持を公に表明し、香港の政治に関与することは異例だ。事情に詳しい複数の関係者によると、同行は通常、中国やサウジアラビアのような慎重を要する国については、公にはできるだけ語らず、内々にそうした国々の経済的成功に関心があると伝える。HSBCが中国政府への支持を表明した背景には、親中派と国営メディアから同法を支持していないとしてやり玉に挙げられたことがある。また昨年は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対して米国が起こした刑事訴訟で同行が提供した情報を巡り、中国当局者への謝罪に追い込まれた。
HSBCが香港国家安全法を支持、その舞台裏
利益の大半を香港と中国本土で上げている銀行の選択
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