ドナルド・トランプ米大統領は少し前には連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に激しい怒りを見せていたが、10日の連邦公開市場委員会(FOMC)の後のパウエル氏は、トランプ流の評価基準で言えば、最も大きな改善を示した当局者の1人ということになるかもしれない。パウエル議長は金融市場に対し、FRBは少なくとも2022年まで金利をゼロ近辺に維持するとともに、債券の買い入れを記録的水準に拡大する考えを示した。パウエル氏はFOMC後の記者会見で「われわれは利上げを検討することすら検討していない」と語った。中銀当局者が考えないのは決して良いことではないとの批判があるかもしれない。ただ、発言の狙いは、FRB以上のハト派は世界中のどこにもいないことをウォール街と政府に知らしめることだった。