今年3月、米国最大の半導体メーカー、インテルの半導体製造は困った事態に直面した。アリゾナ州チャンドラーの半導体工場で作業が必要になったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う米国・欧州間の渡航制限によって、作業を行うはずの技術者がドイツから出られなくなったからだ。既存の装置を再調整して新たな装置を取り付けることができなければ、生産のスピードが落ちる。遠隔勤務のツールとしてパソコンとクラウドが遠隔勤務に欠かせなくなり、半導体の需要は急増していた。そこで同工場の技術マネジャー、ジャビッド・イクラム氏は主に研修ビデオの視聴用に開発された拡張現実(AR)ゴーグルを使って、技術者を仮想空間上で工場に連れてきた。技術者は工場で対応する他の技術者からゴーグル経由で送られてきた動画を見ながら修理の方法を説明し、作業は予定通りに終わった。