ドナルド・トランプ米大統領の政策決定は恒常的に、米国の利益よりも自身の再選と一族の繁栄を優先していた。ジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は近く出版予定の回顧録の中で、こう指摘した。ボルトン氏は、トランプ氏が支配するホワイトハウスでは「司法妨害は日常」だったと指摘し、トランプ氏には「好みの独裁者に個人的に便宜を図る」傾向があると非難した。ボルトン氏の回顧録によると、トランプ氏はホワイトハウスの当局者らに対して再三にわたってウクライナへの軍事援助を棚上げするよう指示した。それは、2016年の米大統領選挙に介入した疑いに対する懲罰であるとともに、2020年大統領選挙で戦う相手となる可能性のあるジョー・バイデン前副大統領の疑惑を捜査するよう圧力を掛けるための方策でもあったという。ボルトン氏のこうした主張は、トランプ大統領の弾劾裁判で起訴事実の中心となったものと同様の内容だ。ボルトン氏はトランプ氏のこうしたもくろみについて、顧問弁護士のルディ・ジュリアーニ氏が中心となって画策した陰謀論に基づく空想の産物だったと表現した。