シリア北部のシリア人たちは、パンを買ったり車にガソリンを入れたりするために、シリアポンドをトルコリラに慌てて両替している。長年の戦争で荒れ果てた経済から自らを守るため、ビジネスオーナーが使用通貨を切り替えているのだ。「もうトルコの通貨しか使えないとは、ショックだった」とソフトウエアエンジニアのマレク・タルブーシュ氏は言う。同氏は先週、シリア北西部のイドリブ市にあるレストランで食事をしたときのことをそう語った。トルコは支配下に収めたシリアの一部で、自国通貨を流通させている。複数の国・勢力が関与する紛争で荒廃したシリア北部で、その経済崩壊に乗じて一段と深く入り込もうとする試みだ。欧州外交評議会(ECFR)の上級研究員、アスリ・アイディンタスバス氏は「トルコリラの使用でますます明らかなように、トルコは現状を自国ルールの延長線上として捉え、長期にわたって駐留するつもりだ」と指摘する。