コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
19万部を突破した『ストレスフリー超大全』で、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー(この記事は2020年7月10日付け記事を再構成したものです)

「一人でいること」のリスク

日本のある調査によると、「本当の友達が0人だと思う」と答えた人は、男性で約4割、女性で約3割にも及びました。親友や信頼できる友達がいない人は意外に多く、「深い友達がほしい」という半面、コミュニケーションの面倒くささや、コミュニケーションへの苦手意識との葛藤も見受けられます。

あなたには「親友」と呼べる友達はいるでしょうか。親友の定義は難しいですが、「本当に困ったときに相談できる友人」が親友です。あなたが余命3ヵ月を宣告されたときに、すぐに電話して知らせたい人がいるとしたら、それが親友でしょう

ひとりカラオケやひとり焼肉など、「ひとり○○」のコンテンツが増えましたが、それでも「1人でも最高に楽しい」という人は少数派で、やはり友人や恋人、家族と行ったほうが2倍以上楽しいのです。

たとえば、レストランのフルコースで2時間、1人で食事をしても、間が持たないことでしょう。おいしい食事は、おしゃべりしながら楽しく食べることで、さらに満足度が高まります。

楽しいことをした場合、それを共有できる友人がいると、「人生が2倍楽しくなる」と言えます

とはいえ、私の場合はそういう親友がいるかというと、たぶんいません。学生時代は、仲のよい友人もいましたが、50歳を越えてくると、彼らとのつながりは希薄になってきて、数年に一度会うか会わないかになってきました。

じゃあ、私の人生は不幸なのかというと、個人的には毎日楽しく暮らしていて、非常に幸せな人生を送っていると思います。いるに越したことはないけれど、いないからといって大きく困ることはない、というのが本音です。

精神科医が「毒友と付き合うな!」と断言するワケPhoto: Adobe Stock

友達がいると不安が半分に減る

メンタル疾患の患者さんに、「今まで、友人や家族など、誰かに相談しましたか」と質問をすると、ほとんどの患者さんは「誰にも相談したことがない」「悩みを相談できる友達がいない」と言います

誰にも相談できないので、悩みやストレスを自分1人で抱えるしかなく、その悩みは大きくなり、心をむしばみ、やがてメンタル疾患に陥るのです。

悩みを人に相談することで、ガス抜きになり、「アウトプット」「表現」が癒やしに通じます。つまり、「人に話す」だけで、心は癒やされ、心の健康は保たれます。

心理カウンセリングは、そういう役割のものです。クライアント(来談者)は「話す」だけ、カウンセラーは「聞く」だけですが、それだけでもクライアントは癒やされます。「話す」「相談する」という行為で、不安やストレスは半分以下になるのです。

友達や家族がいない孤独な状態は、健康に悪いことがわかっています。孤独の健康へのリスクは、「タバコを1日15本吸う」「肥満者の死亡率の2倍」に匹敵します。「孤独」はあなたの心と体をむしばみます。友達がいて、定期的に会って話す。それだけで、あなたは健康でいられるし、長生きできるということです。

友達は1人いればいい

「友達100人作ろう」「みんなと仲良くしよう」という学校教育が諸悪の根源なのですが、「友達がいない人」は「ダメな人」というレッテルを貼られがちです。そういう子どもはいじめの標的になることも多く、「みんなと仲良くしよう」という理想を安易に掲げてしまう教育が、子どもに大きなプレッシャーをかけています。

みんなと仲良くする必要など、微塵もありません。自分の気に入った人、仲良くしたい人とだけ仲良くすれば十分です。仲良くしたくない人と、仲良くなろうと努力することほどストレスになることはありません。

友達は1人いれば十分です。もちろん、2~3人いれば、またそれも楽しいでしょうが、「自分は友達がたくさんいないからダメな人間」と落ち込む必要などないのです