「毒友」なら、いないほうがマシ

何年か前に、LINEの「既読無視」が話題になりました。LINEのメッセージで「既読」になっているのに、コメントやスタンプを返さないと「既読無視?」などと言われて、非難されるのです。

それも、たったの1時間でも、返信がないと既読無視と言われてしまうので、15分おきにスマホをチェックしないといけなかったりして、お風呂にもゆっくり入れないなどと社会問題となりました。

あなたの人生を楽しく、豊かにするのが友達です。友達とは、上下関係ではないのです。送信してすぐに返信がないだけで怒り出すような人間は、あなたを「下」の存在と見ています。上下関係であなたを支配することに喜びを見出しています。

「毒友」はバッサリ切る

「親友」はあなたの人生をプラスにしますが、「毒友」はマイナスの影響を及ぼします。

「毒友」と付き合っても、百害あって一利なしです。困ったときにあなたを助けてくれることはありませんので、さっさと関係を切るべきです。

とはいえ、あなたの悪口を言いふらしたり、嫌がらせをされても面倒なので、徐々に距離をとるようにしましょう。自然と疎遠にして、関係性をトーンダウンしていくべきです

食事などに誘われたときに、「誘ってくれてありがとう。でも、どうしても避けられない用事があって……」と、感謝しながら丁重に断ることを繰り返すと、やがて誘われなくなるはずです。

「仲間」がいれば、「友達」はいらない

先ほど述べたように、私には友達はいません。ここ3年間で、誰かの自宅に呼ばれたことは、たったの1回です。それでも寂しいと思わないのは、「仲間」がいるからなのです

私は、友達はいませんが、「仲間」は多いほうです。本を書いている「著者同士の仲間」や、私が主宰する「ウェブ心理塾の仲間」など、100人以上はいます。

仲間というのは、共通の目的のために集まり、協力し、助け合い、応援し合う関係です。「友達」の場合、つながりの原動力は「友情」ですが、「仲間」の場合は「ビジョン、夢、目的」などが原動力となります

仲間の場合、「目的」実現が結束力の中心となりますから、「方向性」が違うと思えば、抜けるのは自由であり、抜けたからといって関係が険悪になることはありません。

「友情」は私の場合、互いに「縛り合う」イメージがありますが、「仲間」の場合は互いに「協力し合う」関係です。足を引っ張るのではなく、ボブスレーのように後ろから押して加速をつけてあげるのが仲間です。

「仲間」のいいところは、「プライベートに干渉しない」ということです。今まで、何十回も会っている人でも、家族構成などのプライベートはまったく知らない人も結構います。すると、関係性が「楽」なのです。

「自分の目的」を明確にする

仲間を見つける方法は、次項で詳しく説明しますが、コミュニティに所属することが近道です。それぞれのコミュニティには、「目的」があります。

バスケットボールの同好会であれば、「バスケの上達」ですし、手芸サークルであれば、「手芸技術の向上や展示会への出品」です。

なんの目的もないコミュニティは、ほとんど存在しません。ということは、まずはあなた自身が「目的」を持つことからはじまるということです

友達同士でバンドをはじめると、それは「バンド仲間」になります。仲間関係が深まれば、そこから親友が見つかることもあります。友達から仲間ができ、仲間から友達ができます。

「友達」しかいないと重たい関係だけになりますが、「仲間」がいれば寂しくないし、精神的にも楽でつながりやすいのです。仲間がいれば、「友達を作らないといけない」あるいは「友達がいないから孤独だ」という悩みからは解放されます

「仲間」を中心にした人間関係を意識することで、「友達」関係の悩みは、解決に向かうでしょう。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。

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