石油メジャーが相次いで資産の減損損失の計上を発表している。これらは現金支出ではないが、巨大国際石油資本への投資のリスクと見返りがいかに悪化しているかを浮き彫りにしている。英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは6月30日、同社の第2四半期(4-6月期)決算で、石油・ガス価格と精製マージンの低下を反映させ、最大220億ドル(約2兆3750億円)の減損処理をすることを明らかにした。ロンドン市場に上場している英同業BPも既に6月15日、同じ理由で最大175億ドルの減損損失を計上すると述べている。2020年の年初には、石油・ガス業界は原油価格の長期見通しを1バレル=75~90ドルとしていたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前でさえ、その見通しは楽観的すぎるとみられており、米シェブロンは昨年12月、100億~110億ドルの減損処理を発表した。石油・ガス会社は今、そうした価格見通しを調整し始めている。調査会社ウッドマッケンジーのエネルギー業界コンサルタントは「多額の減損はまだ続く」と見込んでいる。