天然ガス価格は先月遅くにつけた25年ぶりの安値から反発しているが、アナリストやトレーダーは大幅上昇を見込んでいない――少なくとも米国で暖房が使われる時期までは。他の資産が新型コロナウイルスのメルトダウンから回復し、パンデミック(感染症の世界的大流行)前の高値さえ超えるなか、天然ガスは出遅れてきた。単に供給が多すぎるのだ。発電および暖房燃料の在庫は世界的に膨らんでいる。液化天然ガス(LNG)の国際貿易は崩壊し、米シェールガスの重要な行き先を圧迫している。原油は1バレル=40ドル前後に戻り、石油生産者は蛇口を再び緩め、副産物として大量の安いガスが市場に出回っている。天然ガス先物は8月限の7日の終値が100万BTU(英熱量単位)当たり1.876ドル。6月25日以来27%の上昇だ。同日は7月限が1.482ドルと、1995年8月以降で最低の水準でひけていた。現在の価格水準はなお、昨年の同時期より23%低く、2年前を34%下回っている。