アジアの発展途上国の経済は、Tシャツやズボン、靴といった衣料品の製造工場に大きく依存し、そこで大勢の雇用を確保し、人々が所得の階段を上る足がかりにしている。このようにしてバングラデシュは貧困を減らし、ベトナムは製造業の夢の実現を目指し、ミャンマーは長年にわたる経済制裁の解除後、成長に向けて歩み出した。だが、新型コロナウイルスが猛威を振るった北米や欧州では店舗が営業を停止。主要ブランド各社は数十億ドル分の注文をキャンセルし、出荷予定だった大量のセーターやジーンズが行き場を失った。プノンペン(カンボジア)やダッカ(バングラデシュ)、ヤンゴン(ミャンマー)周辺の工業地帯では何百もの工場が閉鎖に追い込まれた。