「Go Toトラベルキャンペーン」
で日本人が真っ二つに分断
「Go Toトラベルキャンペーン」に「やめろ、やめろ」の大合唱が起きている。
新規感染者数が増えている東京都の小池百合子知事が、感染拡大防止をしながら日本中で往来を促すという国の矛盾について「冷房と暖房の両方をかけることについて、どう対応していけばいいのか」と嫌味を言ったのを皮切りに、全国の自治体や市町村から「時期尚早」「医療体制が脆弱なので感染爆発したらひとたまりもない」という不満や不安の声が上がっているのだ。
また、Twitterでは「♯GoToキャンペーンを中止してください」がトレンド入りした。人気観光地というのは人口が少なくて自然豊かな場所であることが多いが、そういうエリアは往々にして高齢者が多い。そのため、「経済活動の再開は必要だが、高齢者の命を犠牲にしてまでやるべきことか」などと苦言を呈する人たちもいらっしゃるのだ。
一方、西村康稔経済再生担当相は、15日午前の衆院予算委員会の閉会中審査で、感染防止策を行った上で予定通り実施する考えを示している。また、「コロナ死」よりも「経済死」する人間の方がはるかに多いとして、一刻も早く経済活動を再開すべきという考えの人たちも、この政府方針を支持。壊滅的な状況に追い込まれている観光産業や地方経済を回復させるためにも、「強行すべし」と訴えている。
つまり、このキャンペーンをめぐって、日本人が真っ二つに分断されているような状況なのだ。では、「この記事を書いているお前はどちらの立場なのだ?」という声が聞こえてきそうだが、筆者は「中止にすべき」だと思っている。
今のムードの中で、全国規模のキャンペーンを強行しても、観光産業に携わる人、そして何よりもせっかく楽しい経験をしたいと思って出かけた観光客への「ヘイト」が盛り上がるだけで、長期的に見るとマイナスの効果しか期待できないからだ。